「パルタジェ」制作秘話（2）「Stand Still」

アルバムの一曲目は、

「生き生き」「人間」「溌剌」

が感じられる曲にしたいと思っていました。

ライブの時にお話させて頂きましたが、
「Stand Still」は美味しくて可愛い栗のお菓子をお土産に頂いた時に
沸いてきた感情を歌った曲です。

栗の木を植えて、育てて、実が生って、収穫して、毬を外して、
下ごしらえをして、お菓子にして、お店に並べて・・
それを友が私のために選んで、購入して、運んできてくれて、
おかげさまで、今、私は口にしている・・・と思ったら、
その来歴が愛おしくて、いっそう幸せな気持ちになったのです。

素敵な景色に出会った時、素敵な絵や彫刻やお皿や曲に出会った時も、
同じように幸せを感じる時があります。

立ち止まって、
この絵と私の間にある「何か」
この景色と私の間にある「何か」
この曲と私の間にある「何か」
に思いを馳せる時の幸せは筆舌に尽くしがたしです。

思えば思うほど、より一層それが素敵に感じられますし、
思えば思うほど、記憶に残ります。

これってきっと「人間だからこそわく感情」ですよね？
人間として生まれる確率は１億円の宝くじに１００万回連続であたるより
難しいと言われているそうですから、、、この気持ちは、
「非常ーーーーーーに有り難く尊い感情」ということになります。

それに、有り難いという感情だけではなく、
物語や来歴が思い浮かぶのは、
きっと、それが一所懸命作られ、愛が注がれたから、ですよね？

それなら、私もこの素晴らしい「立ち止まる時間」を愛を込めて曲にして、
誰かに届けたい！
そして、私がその気持ちを忘れないように「備忘録」として残したい！
・・・と思ったのでした。

現代社会では、立ち止まれないほど忙しく、
大量のモノや溢れる情報に翻弄されている人が多いですよね。
ご多分に漏れず、私も疲弊していた時期がありました。
でも、自分との間に良い「何か」が思い浮かぶものだけで暮らすぞ！と決め、
スローな生き方に変えてみたところ、大変元気になったのですよ！
なので、一瞬一瞬を堪能するStand Stillな生活、
これからも続けていこうと思っています。

演奏は、「レイン」とは真逆で、人間の技を伝えやすい生楽器を選びました。
そして、人間力のかたまりであるネコさん、kenさん、Hughに
「生き生きとした演奏をお願い」しました。

ただ、人間の感情と言っても、熱き情熱を表現したいわけではなく、
「静かに感じることの良さ」を伝えたかったので、
リズム楽器は、敢えて生ドラムではなく淡々とした打ち込みを選択しました。

趣味の「ヴォイシング」は、この曲でも凝ってます。笑
前奏・間奏で、ベースラインとピアノの左手右手のフレーズとコーラス4声、
計7声を絡ませています。
しかも、ここはコードがコロコロ変わり、分数コードと代理コードの嵐。
なのに、生き生きと自由にヴァイオリンのソロを加えて下さったネコさんには
「感服！」の一言でした。

つづく

miori

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パルタジェ制作秘話
（1）レイン
（2）Stand Still
（3）Pathfinder