——————————————————————–
9日目 Inter National Cultural Festival
——————————————————————–
ニュージーランドに来た第一の目的であるオークランド市主催の
Inter National Cultural Festivalの日がやってまいりました。
広大な公園内に大小様々なステージとブースがあって、
日本の夏フェスと全く同じ感じですが、移民の国、ニュージーランドらしく、
ガムランがあったり、南米の音楽があったり、世界中の食べ物があったり。
世界中の人ばかりではなく、いろいろな国のいろいろな種類の犬も集結。
大変面白そうなフェスティバルです。
なのに、雨が降ったり止んだり・・
そのせいもあって(主にニュージーランドタイムで進行していたせいだと思うけれど)、
かなり進行が遅れている模様。
楽器を運び入れた時、「出番はきっと4時間後でしょう」と言われてしまいました。
しかし、楽屋らしきところに椅子はないし、雨上がりの芝生から湿気が上ってくるし。
居場所がないので、仕方なく、模擬店を回ったり、犬と遊んだり、
ミュージシャンと四方山話をしながら過ごすことにしました。
芸人の心得Tシャツを着てきたHugh
とてもとても楽しいひとときでした。
しかし、、、緊張感・集中力が、、、すっかり失せてしまったのです。
緊張し過ぎるのもイヤですが、緊張感ゼロというのも難儀です。
身体の中のいろいろを一つところに集めないと、私の場合、力を発揮出来ないのです。
しかも、一旦緩んでしまうと、なかなか再集中出来ないから厄介。
そこへ「準備して下さい」の非情な声。嗚呼。
急いで準備しながら、集中して、、、なんとかスタート!
ところが、すぐに、皆で顔を見合わせる。
ん?ん?なんだこれは?何が起こっているの?
歪んだ爆音で自分の声も音も聴こえないではないか。
ミュージシャン一同が、「下げて、下げて」と目や手で訴えるが、
ずっと私達の専属エンジニアを担当してくれていた敏腕エンジニアのポールが、
汗だくで何かをやっては、お手上げのポーズを返してくる。
ステージ用のモニターだけではなく、
お客さんに向けてのスピーカーからも、どうやら歪んだ爆音が出ているようで、
三々五々、人が減っていくのが見えます。
それでも必死に歌うしかない。
泣きたい気持ちを抑えて。
4曲終えたところで、さらに大変なことが起こります。
「時間が足りなくなったので、あと1曲でお願いします」ですって!
そんなこと、途中で言われてもねぇ。。。
ロブの判断で、和太鼓や木鼓が盛大に入るアレンジの「ハイランド」を演奏することにした結果、
「白いはなびら」にダンスで加わってくれるはずだったemonさんが
出られなくなってしまいました。
申し訳なかったです。
オークランド市主催で、オークランド最大のフェスだというのに、
音も進行もひど過ぎです。
後で聞いたポールの説明によると、係の人達がデタラメな配線をしてしまったので、
コントロール不能だったとか。
でも、しっかり集中して始めなかった私達も悪かったと思います。
きっとお天道さまが、戒めとして、そういう目に遭わせたに違いない・・。
なので、私達も反省。。。
ニュージーランド演奏旅行の締めがこんな結果になり、とてもとても残念でした。
でも、良いこともあったのですよ。
南アフリカからのツーリスト夫妻が、
「とても気に入ったのでCDを買いたい」と、わざわざ楽屋を訪ねて来てくれたのです。
「世界観が良かった」と言って下さったので、きっと、
歪んだ爆音の中でも世界観は失われていなかったのでしょう。
その言葉に、どれだけ救われたことか。
そして、救いはそれだけではありませんでした。
メンバー達と、とてもとても温かい関係が築けていたことが、
大変な状況下で戦っている時、分かったのです。
モニターが崩壊したのなら・・と、耳だけに頼らず、
五感、いや、第六感も使いつつ、みんな私にしっかり着いてきてくれました。
数十年来の友のRobやKeithは勿論のこと、
こちらへ来て初めて会ったHughやJillやAlec達とも、一つになって演奏出来ました。
「仲間になれた」
と感じました。
おかげで、苦い思い出だけになりそうだったフェスが、良き思い出に変わりました。
深謝です。
その後、日本からわざわざ見に来て下さった二人のうちOさんを空港まで送っていきました。
彼女達も、今回、非常に私達を力づけてくれていました。
有り難かったです。
心から「ありがとうございました!」
miori